――先行する体感音楽ゲームを越え、家族の定番へ
▶ 音楽ゲーム/画面方向:固定
稼働年:2001年 メーカー:ナムコ 主な入力:太鼓型コントローラー
『beatmania』や『DanceDanceRevolution』の成功によって、1990年代末には音楽ゲームがアーケードの一分野として確立していました。さらにセガも、『サンバDEアミーゴ』など、楽器を模した操作で幅広い層が楽しめる作品を先行して発表しています。そのなかでナムコが選んだのが、日本人なら誰もが知っていながら、実際に叩く機会は少ない和太鼓でした。
和太鼓は、面と縁を叩き分けるだけで音を出せます。鍵盤や楽器の知識は必要なく、遊んでいる人を見れば操作も理解できます。開発初期には本物の太鼓を用意できず、ポリバケツへガムテープを貼った即席の太鼓を叩きながら、ゲームとしての感触が確かめられました。
実際の筐体には、強く叩かれても壊れない耐久性や入力の正確さに加え、誰もが思わず叩きたくなる見た目と感触が求められました。大きな太鼓を二つ並べたことで、演奏する姿が遊び方の説明となり、親子や友人もその場から参加できます。先行作品の珍しい楽器体験を、祭りで太鼓を囲むような開かれた遊びへ変えたのです。
選曲と継続的な展開も定着を支えました。J-POP、アニメ曲、童謡など、子供から大人まで知っている曲を収録し、定期的な新作や更新によって、その時々の人気曲を加えていきました。久しぶりに訪れた客にも新しい曲があり、同じ筐体へ繰り返し足を運ぶ理由が生まれます。親しみやすいキャラクターと幅広い難易度も、初心者と熟練者が一緒に楽しめる環境を作りました。
『太鼓の達人』は、世代を越えて理解できる和太鼓に、見ただけで分かる操作、親しみのある曲、二人で遊べる筐体を組み合わせました。さらに楽曲を更新し続けることで、一時の新奇な体感ゲームに終わらず、子供が遊び、親も加わり、家族が何度でも戻ってくる定番へ成長したのです。

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